PEGAZINE-ブログ-
観察する力
#020
「見る」から、考える選手へ。
自分で考える選手になってほしい。
これは、指導者なら誰もが願うことだと思います。
では、「自分で考える」とは、どういうことでしょう。
私は、そのスタートは「自分の目で見ること」
だと考えています。
まず、見る。
そして、感じる。
「今、何が起きているんだろう?」
「相手は何をしようとしているんだろう?」
「いつもと何が違うんだろう?」
そうやって、自分が見たものから情報を集める。
そこから考え、判断し、行動する。

つまり、
見る → 感じる → 考える → 判断する → 行動する
この最初にあるのが、「観察」です。
ソフトボールでは、この力がとても重要です。
なぜなら、ソフトボールは確率のスポーツだからです。
どこに打球が飛ぶ可能性が高いのか。
ランナーはどこまで進む可能性があるのか。
相手バッターは、どんな球を狙っている可能性があるのか。
アウトを取るためには、どこへ投げる確率が高いのか。
もちろん、すべてを予測することはできません。
だからこそ、できるだけ多くの情報を集める。
そして、その情報をもとに「より確率の高い選択」をする。これは、ゲーム中の判断力そのものです。

例えば、ただ「ランナーが一塁にいる」と見る選手と、
「ランナーは足が速い。打者は引っ張る傾向がある。カウントは追い込んでいる。守備位置は少し深い」
と見ている選手では、同じ場面でも得られる情報量が違います。
情報量が増えれば、選択肢が増える。
選択肢が増えれば、より良い判断につながる。
だから、観察力は判断力の土台なのです。

そして、観察することは、ゲームの中だけではありません。
練習でも同じです。
仲間のプレーを見る。
上手な選手の動きを見る。
自分のプレーを見る。
うまくいった時と、うまくいかなかった時の違いを見る。
「なぜだろう?」
「何が違うんだろう?」
「自分ならどうするだろう?」
そうやって、見たものを自分の中で分析していく。

この「分析すること」を、難しいことだと思わなくていい。
むしろ、楽しんでほしい。
「あっ、今のプレー面白い!」
「なるほど、そういう選択があるのか!」
「次は自分も試してみよう!」
そんな小さな気づきの積み重ねが、ソフトボールを
どんどん深くしていきます。
ただ打つ。
ただ投げる。
ただ守る。
そこから一歩進んで、
「なぜ、そうなったのか」
「次はどうなるのか」
「自分ならどうするのか」
を考える。
その入口にあるのが、「観察する力」です。
自分の目で見て、自分で感じて、自分で考える。
そして、自分で決めて、自分で動く。

それができるようになったとき、選手は「指示されて動く人」から、「自分でゲームを動かす人」へ変わっていきます。
ソフトボールには、まだまだ知らないことがたくさんあります。
だからこそ、もっと見てみよう。
もっと感じてみよう。
もっと分析してみよう。
「見る」ことから始めれば、ソフトボールはもっと面白くなる。
そして、もっと深く知れば、もっと自分で考えたくなる。
観察する力は、ソフトボールを楽しみながら、選手を「自走する選手」へと導いてくれる、大切な力なのです。
トップバッターの役割と意識
#018
ソフトボールで、先頭打者として打席に立つトップバッター。
その役割を、ただ「一番最初に打つ人」だと思ってはいけません。
トップバッターの最大の仕事は、出塁することです。
どれだけ強い打球を打っても、どれだけ長打を打っても、塁に出なければ得点にはつながりません。
そして、試合の一番最初に訪れる「ノーアウト」という状況で出塁できることには、大きな意味があります。
ノーアウトでランナーが出れば、そこから送りバント、盗塁、進塁打、エンドランなど、攻撃の選択肢が一気に広がります。
だからこそ、トップバッターには「打つ」という意識だけではなく、「どうやって出塁するか」への強いこだわりが必要です。

たとえば、初球から積極的に狙う。
ストライクを見逃さない。
自分が打ちやすい球を強くイメージして、コンパクトにミートする。
たとえ打ち損じても、一塁まで全力で走る。
簡単にはアウトにならず、ファウルで粘って相手投手に何球も投げさせる。
四球を選ぶことだって、立派な出塁です。
大切なのは、「ヒットを打つ」ことだけに意識を置かないこと。
「塁に出るために、自分には何ができるか?」
この問いを、打席に立つ前から持っておくことです。

トップバッターは、チームの攻撃のスイッチを入れる存在です。
自分が出塁すれば、次の打者にチャンスを渡せます。
相手投手にプレッシャーをかけることができます。
ベンチの仲間を乗せることができます。
そして、チーム全体の攻撃の流れをつくることができます。
だから、トップバッターは「自分が塁に出て、チームの攻撃を始める」という意識であってほしい。
特に、ノーアウトからの出塁は大きな価値があります。
「まだ始まったばかり」ではありません。
「ここから攻撃を始める」のです。
先頭打者が一球一球に意味を持たせ、出塁にこだわり、最後まで粘り、全力で一塁へ走る。
その姿が、次の打者、その次の打者へとつながっていきます。

トップバッターとは、打順の一番ではありません。
チームの攻撃を、一番最初に動かす選手です。
だからこそ、もっともっと出塁にこだわろう。
「ヒットを打てるかな」ではなく、
「どうすれば、この打席で塁に出られるか」
を考える。
その意識が、トップバッターを強くします。
ソフトボールは、もっと面白い
#016
ソフトボールを指導していると、同じグラウンドに立っていても、選手によって見えているものが違うと感じることがあります。
ボールだけを見ている選手。
相手を見ている選手。
仲間を見ている選手。
そして、試合全体を見ている選手。
この違いは、技術の差だけではありません。
競技をどれだけ理解しているか。
私は、そこに大きな差が生まれると考えています。
ソフトボールには、投げる、捕る、打つ、走るという基本技術があります。
でも、試合で求められるのは「技術を持っていること」だけではありません。
その技術を、いつ、どこで、どのように使うのか。
ここに「判断」があります。
例えば守備。
打球が飛んできてから動くのではありません。
打者の特徴、アウトカウント、走者の位置、得点差、守備位置、相手の走力。
さまざまな情報を持った上で、「もしここに打球が来たら」と準備しておく。
だから、守備の上手い選手は、捕る技術だけが優れているわけではありません。
打球が飛んでくる前から、すでにプレーを始めている。

走塁も同じです。
塁に出たから走るのではありません。
投手の動き、野手の位置、ボールの軌道、次の塁までの可能性。
さまざまな情報を見ながら、次の判断を準備しています。
そして攻撃も同じです。
打席では、ただ「打つ」だけではありません。
相手投手の特徴、守備位置、走者の状況、試合の流れ。
それらを踏まえて、自分の打席をつくっていく。
つまりソフトボールは、「技術を使う競技」であると同時に、「情報を集めて判断する競技」でもあります。
ここを理解すると、練習の意味も変わります。

キャッチボールも、ただ相手にボールを投げるだけではない。
相手が捕りやすいボールを投げる。
相手の状態を見る。
声を掛け合う。
次のプレーを意識する。
ノックも、ただ打球を捕るだけではありません。
「この打球なら、どこへ投げる?」
「走者がいたら?」
「一つのアウトを取るのか、次のプレーまで考えるのか?」
そう考え始めた瞬間、練習はゲームに近づいていきます。
私は、選手たちに技術を教えることと同じくらい、競技の見方を教えることを大切にしています。
なぜなら、競技を理解すればするほど、自分で考えられるようになるからです。
試合では、指導者がすべての答えを教えることはできません。
グラウンドに立つのは選手です。
その瞬間に何が起きているのかを見て、考えて、選択する。
だからこそ、日々の練習から「なぜ?」を大切にしたい。
なぜ、このプレーなのか。
なぜ、この場所なのか。
なぜ、この選択をしたのか。
その問いを持つだけで、同じ練習、同じ試合でも、見えるものが変わってきます。

技術が増えれば、できることが増える。
知識が増えれば、分かることが増える。
経験が増えれば、気づけることが増える。
そして、考えるようになれば、今まで見えていなかったものが見えてくる。
それが、ソフトボールの面白さです。
ソフトボールは、ただ技術を競うスポーツではありません。
見る。
読む。
考える。
選ぶ。
その一つひとつが、次のプレーをつくっていきます。
だから、もっと知ってほしい。
もっと考えてほしい。
もっと競技を楽しんでほしい。
知れば、見える。
見えれば、考えられる。
考えれば、
ソフトボールはもっと面白くなる。
ツーストライクは不利ではない。ゲームが変わるだけ。
#015
「追い込まれた。」
この瞬間、多くの選手は”ピンチ”だと考えます。
だから焦る。
だから当てにいく。
本来のスイングを見失ってしまいます。
しかし、本当に考えるべきことはそこではありません。
ツーストライクになった時点で、打席の目的が変わるのです。
ノーストライクやワンストライクでは、打者が主導権を握れる場面があります。
甘い球を一振りで仕留める。
自分のタイミングで勝負する。
それが理想です。
ところが、ツーストライクになると状況は変わります。
そこで同じ考え方、同じスイング、同じ狙い方を続けていては、投手の思うつぼです。
つまり、追い込まれてから必要なのは「根性」ではありません。
思考の切り替えです。
まず、打席のゴールを変えます。
「長打を打つ」ではなく、「アウトにならない」
「決める」ではなく、「勝負を終わらせない」
この発想の転換だけで、打席で選ぶ行動は大きく変わります。
ボールを最後まで見る。
ギリギリまで引きつける。
インサイドアウトを意識し、ファールで命をつなぐ。
一球でも多く投げさせる。
この一つひとつが、追い込まれた打者の戦略になります。
よく「粘れる選手は技術がある」と言われます。
もちろん、それも事実です。
しかし私は、その前にあるのは「考え方」だと思っています。
何を狙い、何を捨てるのか。
何を優先し、何を我慢するのか。
その整理ができている選手ほど、無駄な空振りが減ります。
逆に、追い込まれても最初と同じ打席を続けようとする選手ほど、苦しい結果になりやすいのです。
ソフトボールは、状況に応じて最適解を選び続ける競技です。
ツーストライクは、その判断力が最も試される場面と言ってもいいでしょう。
だから私は、追い込まれることを悪いことだとは思いません。
むしろ、その選手の「野球脳(ソフト脳)」が見える瞬間です。
打席は、一つではありません。
ノーストライクの打席。
ワンストライクの打席。
そして、ツーストライクの打席。
それぞれで考え方を変えられる選手ほど、簡単にはアウトになりません。
技術はもちろん大切です。
しかし、技術を生かすのは「思考」です。
追い込まれたら終わりではない。
追い込まれたら、ゲームが変わる。
その変化に気づき、自分の思考を切り替えられる選手こそ、本当に勝負強い選手なのです。
一球の意味を考える
#014
ソフトボールは、一球一球の積み重ねで試合が動きます。
たった一球で流れが変わる。
たった一球の判断で、アウトが取れる。
たった一球への準備不足で、失点につながる。
だから私は、選手たちに「一球を大切にしよう」と伝えます。
でも、「大切にする」とは、ただ集中してボールを見ることではありません。
その一球に、どんな意味があるのかを考えることです。
例えば、無死一塁。
ピッチャーが投げる一球を、ただ「打つ・打たない」だけで考えてはいけません。
相手は何をしてくるのか。
走者はどう動くのか。
自分が打ったら、どこに打球が飛ぶ可能性があるのか。
アウトカウントはどうなるのか。
次の打者につなぐためには、何が必要なのか。
同じストライクでも、状況によって意味は変わります。
「ストライクだから打つ」
それだけでは、試合を考えているとは言えません。
「今、この状況で、この球をどうすることがチームにとって一番良いのか」
そこまで考えて、初めて一球の意味が見えてきます。
守備も同じです。
ランナーが一塁にいるときと、二塁にいるときでは、守備の意味が違います。
アウトカウントが「0」なのか「2」なのかでも違う。
点差が1点なのか、5点なのかでも違う。
試合とは、同じプレーを繰り返す競技ではありません。

状況が変わるたびに、正解も変わる競技です。
だから、私は「考える選手」になってほしいと思っています。
監督から言われたから動く。
それだけではなく、
「なぜ今、そうするのか」
を自分で考える。
そして、考えた上で自分の判断として動く。
それが、競技理解につながります。
もちろん、すべての判断が正解になるわけではありません。
間違えてもいい。
判断した結果、失敗することもあります。
でも、何も考えずにプレーすることと、考えた上で失敗することは全く違います。

考えた選手には、次があります。
「なぜ失敗したのか」を振り返り、次の一球で修正できるからです。
私は、ペガサスの選手たちに、ただ「上手な選手」になってほしいわけではありません。
試合を理解し、自分で判断できる選手になってほしい。
一球ごとに、状況を見る。
相手を見る。
仲間を見る。
アウトカウントを見る。
得点を見る。
そして、次に起こることを予測する。
その上で、自分は何をするのかを決める。
それが、ソフトボールの面白さです。
一球は、ただの一球ではありません。
そこには、状況があり、意図があり、選択があります。
だからこそ、私は選手たちに問い続けたい。
「その一球、どういう意味?」
答えを教えてもらうのではなく、自分で考える。
その積み重ねが、試合で勝つための「考える力」になります。
そしていつか、ベンチから何も言わなくても、自分たちで状況を読み、自分たちで判断し、試合を動かせるチームになる。

私は、そんなペガサスをつくりたい。
一球を考える。
一球を選ぶ。
一球で、試合を動かす。
ソフトボールは、そこまで考えると、もっと面白くなります。










